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【東大卒医師が教える】QBと問トレだけで突破?! 医学部CBT&国試の合格体験記

著者:N.K. 医師 東京大学医学部卒

目次

はじめに

医師国家試験(国試)は医学部の集大成となる試験であり、合格率は高いものの、計画的な学習と効率的な勉強法が不可欠です。膨大な試験範囲を効率よく学習するためには、適切な教材の選択や学習計画の立案が重要になります。

私は4年生から少しずつ準備を進め、6年生から本格的に対策を行いました。予備校の動画教材はほぼ使わず、QB(クエスチョン・バンク)の書籍と問トレを活用してコストを抑えつつ合格を掴み取りました

本記事では、各学年での効率的な勉強の流れ、使用した教材、直前期の対策、試験当日の過ごし方について、実体験をもとに紹介します。

①4年生までの勉強(CBT対策)

臨床前のCBTに向けて、最低限の臨床知識を習得しました。医学部のカリキュラムでは、4年生までに基礎医学や一般的な疾患の病態生理を学ぶ機会が多くありますが、CBTはそれらの知識が身についているかを試す試験でもあります。そのため、単なる暗記だけでなく、知識を体系的に整理し、臨床的な視点を持って問題を解く力を養うことが重要です。

使用した教材は、CBT用のQB(紙版)です。先輩からいただいたものを解いていました。QBは多くの受験生が使用する定番の問題集であり、過去のCBT試験の問題を網羅しているため、試験対策として非常に有効でした。特に間違えた問題には詳細な解説を付け加え、再度解き直すことで知識の定着を図りました。

さらに、無料で使える問トレのCBT版も活用しました。スマートフォンやタブレットで気軽に学習できるため、通学中や移動時間などのスキマ時間を有効に活用することができます。

CBTでは基礎医学の分野も頻繁に問われます。国試対策はまだ考えず、大学の定期試験対策とCBT対策を並行して進めました。基礎医学では特に解剖学や生理学、病理学の知識が重要になり、各科目の教科書を適宜見返しながら、理解を深めることを意識しました。また、CBTでは臨床医学の初歩的な内容も含まれるため、疾患の成り立ちや診断の基本についても学ぶ必要がありました。( →解剖学、生理学、病理学の勉強法記事へリンク)

こうした学習の結果、CBTの試験では基本的な問題にしっかりと対応できるようになり、知識の定着を感じることができました。臨床実習が始まる前のこの時期に、基礎医学の復習と臨床医学の入り口を学ぶことは、今後の学習にも大いに役立つと思います。また、CBTは国家試験よりも基礎医学の比重が高く、医学部での講義内容をしっかりと復習することが大事だと感じました。そのため、特に苦手な分野はテキストを見直しながら、理解を深めることを意識していました。

②5年生での勉強

5年生になると、臨床実習(ポリクリ)が本格的に始まり、これまで学んできた医学知識を実際の診療現場で応用する機会が増えてきます。私のいた東大では試験はなく、比較的自由な時間が確保できたため、国試の勉強を始めるには絶好のチャンスでした。しかし、私自身はこの時期には国試の勉強をあまりせず、むしろ目の前の臨床の現場で学べることを優先しました。また、部活や研究活動などの課外活動などを積極的に行える時期でもあり、いろいろなことに挑戦していました。

臨床実習では、病棟での診療補助、患者さんへの問診、カルテの記入、手技の見学や実施など、実際の医療現場で必要なスキルを少しずつ身につけていきます。時には、国試では絶対に問われないような知識の習得や経験を積むことが多いです。この時期は余裕があるので、そのような知識・経験を大事にしてほしいなと思います。面倒なことも多いですが、臨床に関する視野は確実に養われていきます。

とはいえ、5年生の後半になると国試の勉強も意識し始めました。特に、内科の基礎はしっかりと固めておく必要があると考え、先輩から譲り受けた国試用のQB(紙版)を使い、内科の一周目問題を中心に解き始めました。最初は、知識の抜けを実感することも多かったですが、復習することで少しずつ理解が深まっていきました。

5年生の間は国試の勉強に本腰を入れるというよりも、実習での学びを大切にしながら、徐々に試験対策を始める時期だと感じました。この期間にしっかりと臨床の視点を養うことで、6年生以降の学習がより実践的なものとなり、国試の勉強にも役立つ基盤を築くことができたと思います。

③ 6年生での勉強(〜8月まで)

国試まで1年を切り、本格的に勉強を進める時期です。4月頃から本格的に勉強を始める人が増え、7月・8月には初期研修先のマッチング試験も始まります。国試レベルの筆記試験を課す病院もあり、それに向けた準備も必要でした。このため、国試対策だけでなく、マッチング試験対策も兼ねて、知識の整理と実践的な問題演習に力を入れました。

具体的には、内科・外科・産婦人科のQBを一周(苦手な分野は二周)し、問題を解くだけでなく、解説を読み込みながら、ガイドラインや診療マニュアルと照らし合わせることで、疾患の全体像を整理しました。単なる知識の詰め込みではなく、病態生理や診断基準、治療方針の流れを意識しながら学習することを心がけました。

この時期から使用を開始した教材としては、メディックメディアのReview Book(内科・外科/産婦人科)があります。本の内容としては、本当に最低限の内容をまとめたものですが、QBに書かれていてReview Bookには書かれていない知識や、ガイドラインで調べた追加知識を随時書き込んで行き、自分なりのまとめノートを作成するという方法で、様々な知識を定着させていきました。一からノートを作るのは時間がかかるため、Review Bookのように要点が整理された教材をベースにすることで、効率よく情報を集約できました。

この時期は学習ペースを確立する重要な時期でもあり、無理なく続けられるように計画を立て、習慣化することを意識しました。

④ 6年生での勉強(9月〜12月まで)

9月からはマイナー科や公衆衛生の勉強を本格的に進めるつもりでしたが、内科・外科の問題がある程度解けるようになっていたため、気が緩み、思ったより勉強が進みませんでした。特に、「ある程度できるようになった」という慢心が生まれ、優先順位の低い勉強を後回しにしてしまったのは反省点でした。

しかし、11月末に臨床実習を終え、12月初旬のOSCE対策を始めたところ、知識が思っていた以上に抜け落ちていることを痛感しました。例えば、基本的な診断フローや鑑別疾患の考え方を忘れており、復習を進めるうちに、単に知識を持っているだけでなく、臨床の流れの中で使いこなせるようになっていることが重要だと実感しました。

この時期には、問トレ国試版を活用しながら問題演習を中心に進めました。特に、国家試験で頻出の疾患については、診断基準や治療指針を明確に整理し、実際の臨床と結びつけるように意識しました。

12月末にはQB(必修や公衆衛生の一部を除く)を一周し、知識の整理が進んだと感じましたが、この時点ではまだ「全体的な把握」の段階であり、知識の定着が十分ではないことも痛感しました。この経験から、国試対策は「早めに始め、継続的に学習を積み重ねること」が何よりも重要だと強く実感しました

⑤ 6年生での勉強(〜国試まで)

1月初旬にTECOMの第4回模試を受験しました。自分にとっては初めての模試だったのですが、結果は合格点ギリギリで、マイナー科の知識が不安定なだけでなく、内科・外科でも正答率の高い問題を多数落としていました。特に、ガイドラインを中心に学習していたため、細かい知識は持っているものの、基本的な問題を確実に解く力が不足していると気づきました。

この模試を受けて、国試では「多くの受験生が正解する問題を落とさないことが最重要」だと改めて認識しました。そこで、1月中旬からは、過去問演習を徹底し、QBを用いた公衆衛生や必修科目の復習に重点を置きました。公衆衛生は暗記量が多いものの、やれば確実に点数が伸びるため、この時期に集中的に取り組みました。

また、模試で間違えた分野を優先的に復習し、単なる暗記ではなく「なぜこの選択肢が正解で、他の選択肢が誤りなのか」を考えながら学習を進めました。最終的に、予定していた学習をすべて終え、試験本番にはある程度の自信を持って臨むことができました。

⑥ 国試直前〜試験当日

試験直前は体調管理を最優先し、1週間前から不要な外出を控えました。特に、冬場はインフルエンザや風邪のリスクがあるため、マスクの着用や手洗いを徹底し、規則正しい生活を心がけました。試験当日はReview Bookを持参し、知識の最終確認というより精神安定のために活用しました。直前に詰め込もうとすると、かえって不安になるため、試験前は流し読み程度にとどめました。

試験中は、問題の難易度に動揺せず、ペースを守ることを意識しました。わからない問題には一旦飛ばして後で戻るようにし、マークミスを防ぐために定期的に回答を見直しました。休憩時間には答え合わせをする人もいましたが、合格率は90%以上ですので、変に動揺せず堂々と過ごすのが大事だと思います。

まとめ

私はQAやYear Noteを使わずに国試に臨みました。動画教材やYear Noteのまとめ方が自分には合わず、また「この教材をやれば受かる」という考え方を大学内にかなり根深く浸透させ、外れれば不安にさせる風潮に違和感を感じたためです。結果的に、自分に合った学習スタイルを確立し、コストを抑えつつ効率的に勉強することができました。

この勉強法のメリットは、予備校に頼るより費用を抑えられることですデメリットとしては他の受験生が当然知っている知識を落とすリスクがあることです。そのため、必要な部分には適切に投資し、効率よく学習することが重要だと感じました。

現在は紙のQBが廃止されていますが、ありがたいことに、問トレでは国試の問題を無料で解答・解説付きで提供しています。ガイドラインなどもネット上に公開されているものが多いです。コストを抑えながら、医学知識の習得を楽しみつつ、計画的に学習を進めることが、最終的に合格への近道だと考えています。本記事が、国試を目指すすべての受験生にとって役立つものであれば幸いです。

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